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芥川賞・田中さん不機嫌「私がもらって当然」

田中さん「現代的で知的なものと古めかしいものの両極」。同じ1972年生まれの新芥川賞作家2人は、黒井千次選考委員の選評通り、対照的な経歴と作風を持つ。  田中さんは山口県下関市生まれ。高校卒業後、「ほかのことができず」、谷崎潤一郎や三島由紀夫などを乱読し、毎日、あてもなく書き続けた。05年デビュー。実家で母親と暮らす。今回は5度目の候補。  受賞作は下関とおぼしき昭和の末の町が舞台。川や魚の匂いが漂う集落に住む高校生を主人公に、暴力的な父との確執や性の衝動を、密度の高い文章で描く。  田中さんは開口一番、ある女優の言葉を引き、「私がもらって当然――大体、そんな感じです」。不機嫌そうな表情で「私は、本を読んで小説を書いて作家になったというだけ」と答え、会見は短時間で終わった。